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トヨタのラクティス決着。 

新車で買った福祉車両のトヨタのラクティスは、購入してからまだ半年ほどしか経っていない。その間、母が運転中に1度、妹が運転中に1度、アクセルが戻らないことがあった。

母はただただパニックに陥って、何度も何度もアクセルを踏み、雪の積もった峠の上り道を時速90kmオーバーで暴走しながら、不意に戻ったアクセルに驚きながら胸下ろして難なきを得た。

妹は後続車に煽られた上り坂でグイッとアクセルを踏んだ時、アクセルが戻らなくなって、パニックになりながらもギアを「P」に入れて、ブレーキを踏みまくって、最終的にキーを抜いて、無理矢理エンジンを切って止めた。

なにが原因であろうとも、そんなことが起こっていい筈がない。


原因は、アクセルを踏み込むと、アクセル・ステップが、床のマットに挟まってしまうという馬鹿馬鹿しい物理的なミス。

通常、車のフロアマットはクリップとかで止まっていて、ずれてアクセル・ステップの上に乗っかるなんてことはない。だが、家の車には、クリップがなく、マットは自由気ままに動き、時々アクセルペダルに乗っかる車だった。

ディーラーは、マットを新品にして、クリップを付けて、2度とそんなことが起こらないように改善してくれた。

ちなみに、フロアマットは純正だった。でも、マットは内装品であるために、リコールとか不具合とかそういったこととは無関係で、運転手の自己責任の範疇に含まれるらしい。
ただ、メーカーは、フロアマットがアクセルペダルを干渉する事例がかつて多発したために、自主的にクリップを付けたりしてずれないようにしている。が、わが家の福祉車両には自主的にクリップがなかった。

また、ディーラーの営業マンは、アクセルペダルが戻らなくなったのはマットの干渉! と原因を述べるだけで、母の心のケアには興味がないようだった。

科学的なことを噛み砕いて、2度と問題が再現されないということを、説明するということは、数学的で論理的な話だけでは駄目なんだ。なぜ、そんなことがわからないんだ。

説明と説得は違う。議論では感情を癒せない。

一番最初に母へ、説明する時に、どうして実際にマットが干渉する場面を見せなかったのか。どうしてエンジニアの人に説明させなかったのか。


散々ぼくは電話で怒り散らした。そして、ディーラーの営業マンとエンジニアと支店長は春の晴れた日曜日、渋滞の中往復2、3時間かけてわが家まで来て、マットが干渉することを実際に見せに来た。一見して母は納得した。

ぼくは最近の自動車の不安な仕組みやら、トヨタのサービスセンターのお粗末さとか、これまで知らなかった様々な問題に気づかされた。ぼくは電子制御の車なんて絶対に乗りたくない。ましてやハイブリッドカーなんて絶対に乗るもんかと思った。



父は、順調に嚥下がよくなっており、煎餅も食べられるようになった。
ご飯はまだお粥だし、お茶にはとろみを入れているけれど、胃瘻を使った栄養は、もう多分必要ないのではないかと思う。

母が「栄養士の資格はないからねぇ~」と言っていたけれど、じゃあぼくの片寄っているであろう食事はどうなんだい? とか、嫁に言った料理の出来ない妹は大丈夫なのかい? などとちょっと口には出し難いけど、多分的は外していない問題点を考えると、父の胃瘻は近い将来、不要になるのではないかなぁと感じた。

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シャント 

父がクモ膜下出血で倒れて最初に入院した病院へ、シャントの交換検査へ行ったと母が言った。

院長先生は、当時の父を思い出しながら、「よくここまで・・・」と、本当に嬉しそうに述べ、看護婦さん達も父の元へ来ては、ワイワイなにやら話しかけてくれて、父は「どーも、どーも」とか「ありがとうございます」とか言った。

見えていても、明けているのがしんどいのか、普段は右目をつぶっているのだが、「明けて!」と頼むと明けてくれる右目を、病院で明けてやったりして、多いにウケたらしい。


お風呂に一緒に入る時、最近母は10分ほど風呂の外へ出て行く。その間、ぼくは父の麻痺した左肩を、肘を、手首を、指をゆっくりほぐしては、タオルを絞って父の目頭に置く。

「硬くなってるから、普段から自分でマッサージしなきゃだめだよ」とか言いながら、ただ父の左腕を一生懸命にマッサージする。

お湯の中で30分、シャンプーや石けんに10分、入ったり上がったりするのに5分ずつくらいかかるので、大体いつも1時間近くかかる父との入浴が、ぼくは心から好きだ。

父に対する感情も、日々の雑感も全て消え、ただただ父の左腕の筋を感じながら、ぬるめのお湯の中でひたすらマッサージすることは、楽しくも辛くもないけれど、1週間で最も心温まる時間のような気がする。

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